オペラ歌手コレペティツィオンスキルアップクラス

Story
指揮者・新国立劇場オペラ音楽チーフの城谷正博です。
昨年も多くの方に参加して頂いたクラスを、今年も開催することとなりました。その時にたくさんの意欲的な方との出会いがありました。その後、皆さんが素晴らしい勉強・活動を続けておられるのは私にとって大変嬉しいことです。
私の30年にわたるオペラとの関わりの中で得てきた経験を伝える場を持ちたいと思い、このクラスを立ち上げました。日本のオペラの歴史はまだ浅く、ヨーロッパと同様のシステムがあるわけではありません。どのように勉強したらよいか、どのようにオペラの世界に足を踏み入れていくか、悩んでいる方も多くいるでしょう。そういった方々のために、いま現場での経験を日々積み重ねている私からお伝えできることがあります。
今回は「コレペティトゥール」「ピアニスト」志望の方々をを対象とします。ただし昨年のクラスでも申し上げましたが、「歌手」と「コレペティトゥール」はお互いに補完し合うものですので『歌手と共にクラスを受けたい』など受講者の希望に極力沿うようフレキシブルに対応したいと考えています。
一日のクラスを受けたからといって残念ながら直ぐに技量が上達することはありません。得られるのは上達への「考え方」「ヒント」「アイディア」です。しかしそうした思考こそがあなたのポテンシャルを引き出すことになるでしょう。
私はこれまでのオペラ人生の中で特にドイツオペラや歌曲にも多く接してきました。ヴァーグナー、リヒャルト・シュトラウス、マーラー、コルンゴルト、ツェムリンスキー、ベルク等。日本では、「イタリア物」の作品から取り組む人が多く、これらの所謂「ドイツ物」に接する機会は少ないように感じます。しかし「ドイツ物も好きだし歌ってみたい!」、「若いうちにワーグナーやシュトラウスを弾けるようになりたい!」など、色々な方からドイツ物に対する関心の強さを感じることがあります。そのような要望に応えたいと思い、今回も「ドイツオペラ」を題材にしています。
「コレペティトゥール」の仕事は、音取りを手伝う最初の段階から、音楽的に役を作り込むまで広範囲に及びます。テキストやオペラの解釈に関する知識や、他の役柄を弾きながら歌えるスキルも必要です。そうした中でも今回のクラスでは「オーケストラを弾く」ということに主眼を置きます。
個人稽古を中心としたコレペティトゥールのほか、日本では「稽古ピアニスト」という仕事が市民権を得ています。まずは稽古ピアニストになることで、オペラと関わりを持つと捉えている方もいるでしょう。そういった方にもコレペティトゥールの様々なスキルは、当然望まれます。私は、各地のオペラプロダクションで活躍する稽古ピアニストも、良い人材が増えることを望んでいます。
意欲のある方との出会いを楽しみにしています。